漢方で整える ”産後の体調不良” とその特徴
2025.10.07
「産後の体調不良とその特徴」について下記の内容で書きたいです。
・西洋医学と漢方薬の違い
・疲労、気分の落ち込み、母乳トラブル、抜け毛、冷えなど
・産後に用いられる代表的な漢方薬
・母乳との関係 ・授乳中でも使用できる場合がある点
・注意が必要な処方(医師に確認すべきこと)
・生活習慣と合わせた回復法
出産は「命を生み出す大仕事」。その直後の身体は、見た目以上に大量のエネルギーと血液、そして水分を失い、心身ともに大きな負担を受けています。
「疲れが抜けない」「気分が落ち込む」「母乳が出にくい」「抜け毛が増えた」「からだが冷える」…
こうした不調は、単なる“疲れ”ではなく、漢方でいう「気(き)・血(けつ)・水(すい)」のバランスの乱れが関係していると考えます。
「気・血・水」とは?
漢方医学では、人の身体は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という3つの要素によって成り立っていると考えます。これらがバランスよくつくられ、体内を巡り、不要なものがきちんと排出されることで健康が保たれます。
不快な症状や体調不良の原因は、主にこの「気・血・水」のバランスの乱れから起こることが多いです。どれかが不足したり、過剰になったり、巡りが滞ることで、さまざまな不快症状や体調不良が生じるとされています。
■ 気:生命活動の源となるエネルギーのこと。
身体を温めたり動かしたりする“見えない力”、まるでエンジンのような働きを持ち、免疫力や内臓の働き、精神の安定にも深く関わっています。
元気・やる気・気力といった言葉に含まれる「気」も、この概念を表しています。
■ 血:血液そのもの を指し、身体の隅々まで栄養や酸素を届ける働きを持つ、“生命の源” のような存在 です。
身体に栄養と潤いを与え、心身を養い、心を落ち着かせる役割も担っています。
■ 水:血液以外の体液(リンパ液・唾液・汗・尿・涙など)を指し、身体を潤す “みずみずしさ”の要素 です。
体内の水分バランスを保ち、関節をなめらかに動かし、臓器を適度に冷やす潤滑油のような役割を担っています。
この3つはお互いに影響し合っており、バランスが崩れることで、さまざまな不調や病気の原因になるとされています。
出産後はこの気・血・水がいずれも消耗しており、
そのため「体力の低下」「気分の不安定」「冷え」「母乳トラブル」など、複合的な不調が現れやすくなります。
西洋医学と漢方の違い
| 視点 | 西洋医学 | 漢方医学 |
|---|---|---|
| アプローチ | ホルモン・栄養・鉄分などを補う | 「気・血・水」のバランスを整える |
| 目的 | 症状の改善(ピンポイント治療) | 体全体の回復・再生を助ける |
| 治療の考え方 | 足りないものを補う、炎症を抑える | 自然治癒力を高めて整える |
漢方では、身体を「バランスのとれたひとつのシステム」としてとらえ、
出産後の体の回復力そのものを高めていくことを目的としています。
産後によくみられる体調不良と漢方の考え方
| 症状 | 東洋医学的な原因 | 代表的な特徴 |
|---|---|---|
| 疲労・倦怠感 | 気の不足(気虚) | だるい・息切れ・疲れが抜けない |
| 気分の落ち込み | 血の不足+気の滞り | 涙もろい・不安・イライラ・不眠 |
| 母乳トラブル | 気血の不足または滞り | 母乳が出にくい、張る、詰まる |
| 抜け毛・肌荒れ | 血虚 | 髪や肌にツヤがなくなる |
| 冷え・むくみ | 気虚・水滞 | 手足が冷たい・むくみやすい |
産後によく使われる代表的な漢方薬
| 漢方処方 | 主な働き | 向いているタイプ |
|---|---|---|
| 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) | 「気」を補い、体力・免疫力を高める。 | 疲れやすい、母乳が出にくい、食欲がない。 |
| 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | 「血」と「水」のバランスを整える。 | 貧血傾向、冷え、むくみやすい。 |
| 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) | 「気」と「血」を同時に補う。 | 出産後の虚弱体質・肌のくすみ・回復が遅い。 |
| 加味逍遥散(かみしょうようさん) | 「気」の巡りを良くして、ストレス・不眠・イライラを和らげる。 | 気分の浮き沈み、情緒不安定。 |
| 八味地黄丸(はちみじおうがん) | 「腎」を補い、冷え・腰痛・下半身の弱りを改善。 | 冷えが強い、足腰がだるい、夜間頻尿。 |
母乳と漢方の関係
漢方では、「母乳=血(けつ)」と考えます。
つまり、血の不足(血虚)があると母乳の出も悪くなります。
-
母乳が出にくいタイプ:気血を補う「補中益気湯」や「十全大補湯」
-
張り・詰まり・乳腺炎になりやすいタイプ:気の滞りを流す「逍遥散」や「四逆散」
また、授乳中でも使用できる漢方薬もあり、母乳の質や流れを整えるサポートとして有効です。
(ただし、自己判断での服用は避け、必ず専門家へご相談ください。)
授乳中でも使用できる場合がある点
多くの漢方薬は天然由来の生薬から作られており、授乳中にも比較的安全に使用できるものがあります。
ただし、次の点には注意が必要です。
-
体質や症状に合っているか
-
生薬に刺激性(下剤成分など)が含まれていないか
-
母乳や赤ちゃんに影響する可能性がないか
そのため、漢方薬を選ぶ際は必ず医師・薬剤師に相談してください。
注意が必要な処方(医師に確認すべきこと)
以下のような処方は、授乳中には注意が必要です。
| 処方名 | 注意点 |
|---|---|
| 大黄(だいおう)を含む処方(例:桃核承気湯、大黄甘草湯など) | 乳児の下痢を誘発する可能性がある |
| 附子(ぶし)を含む処方(例:真武湯、八味地黄丸など一部) | 強い温熱作用があり、授乳初期は避けた方が良い場合も |
| 駆瘀血剤(桂枝茯苓丸など) | 体質によっては刺激が強い場合あり、医師の判断が必要 |
生活習慣と合わせた回復法
産後の回復には、漢方薬だけでなく生活のリズムと食養生が欠かせません。
🌿 食事
-
「血」を補う食材:レバー、黒ごま、なつめ、ほうれん草、黒豆
-
「気」を補う食材:ごはん、山芋、鶏肉、かぼちゃ、長ねぎ
-
冷たい飲食物は避け、温かい汁物やお粥を中心に。
😴 睡眠
-
短時間でも横になる時間を確保し、からだを冷やさない。
-
夜間授乳の合間も、深呼吸でリラックスを。
🧘♀️ 心のケア
-
「完璧にしよう」とせず、「できる範囲で」が大切。
-
香り(ハーブティー、精油)や温灸でリラックス。
まとめ
産後の体調不良は、身体が発する「気・血・水の乱れのサイン」です。
漢方は、症状を抑えるだけでなく、体の内側から回復力を高める“根本ケア”。
疲れやすさ、冷え、母乳トラブル、気分の不安定――
どれも、体が「整えてほしい」と伝えているサインです。
無理をせず、少しずつ体を労わる時間を持つことが、回復への第一歩。
専門家に相談しながら、漢方で“産後の回復力”を取り戻しましょう。
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